【モンゴル最西端の旅】ウルギーからポターニン氷河へ!往復5時間の大冒険
サィンバイノー。
H&Aトラベルのバルサーです。
6月6日、当社のニューフェイスMSヤンジマと一緒に、モンゴル最西端のバヤン・ウルギー県にある「ポターニン氷河」へ行ってきました。6月上旬は、バヤン・ウルギーの旅行シーズンがちょうど始まる時期です。


冬の雪が解け始め、ツーリストキャンプも夏の営業準備を始めます。ただし、場所によってはまだ雪が残り、雪解け水で地面がぬかるんでいます。今回の目的は、遠くから氷河を見るだけではありません。実際に歩いてポターニン氷河まで行き、その上に立つことです。
結果からお伝えすると、私もヤンジマも無事に氷河まで到着しました。しかし、氷河ではヤンジマがクレバスに足を取られ、あわや遭難という出来事もありました。美しい景色だけでは終わらない、かなり大変な一日でした。
国内線で約2時間。でも、着いたら時差があります

ウランバートルからウルギーまでは、国内線で約2時間です。同じモンゴル国内ですが、ウルギーとウランバートルには1時間の時差があります。ウルギーの朝8時は、ウランバートルの朝9時です。
国内旅行なのに時計を1時間戻すという、日本ではなかなかない感覚です。スマートフォンの時間が自動で変わらない場合もあるので、飛行機の出発時間や集合時間には注意が必要です。たった2時間のフライトですが、飛行機を降りると、ウランバートルとは景色も雰囲気もかなり違います。
ウルギーはカザフ族の人々が多く暮らす町です。看板ではモンゴル語だけではなく、カザフ語も見かけます。人々の顔立ち、食文化、民族衣装などもウランバートルとは違い、モンゴル国内でも別の国へ来たような気分になります。
そして、町の周囲には木の少ない山々が広がっています。草原のイメージが強いモンゴルですが、最西端まで来ると、目の前にあるのは荒々しい山の景色です。
「同じモンゴルでも、ここまで違うのか」
ウルギーは、到着した瞬間からそう感じる町でした。ウルギーからはランドクルーザーに乗り換え、MSヤンジマと一緒にアルタイ・タワンボグド国立公園へ向かいます。町をでると、本格的なオフロードです。
大統領オボーまでは約200kmのオフロード
ウルギーから大統領オボーまでは、GPSの記録で約200kmです。
私たちは朝8時ごろにウルギーを出発しました。

距離だけを見ると、それほど遠くないように思います。しかし、ほとんどが未舗装路です。途中で休憩したり、お昼を食べたり、国立公園へ入る手続きをしたりしながら進むため、大統領オボー付近へ到着するまで約8時間かかりました。
「200kmなら、3時間くらいですか?」日本の道路なら、そう考えるかもしれません。しかし、ここはモンゴル最西端です。道路標識もガードレールもない大地を、前の車が残した轍を頼りに進みます。
車窓には、ずっと素晴らしい景色
長い移動ですが、退屈することはありません。ウルギーを離れると、周囲の景色は少しずつ変わっていきます。町の近くには乾いた山と広い谷。その先には川、草原、岩山が続き、遠くには雪をかぶったアルタイ山脈が見えてきます。


しばらく走ると、また違う形の山が現れます。「ここで写真を撮りたい」そう思って車を止めても、少し先へ行くと、さらに素晴らしい景色が出てきます。そのたびに止まっていたら、いつまでたっても氷河へ着きません。車に乗っている時間は長いですが、窓の外にはずっと素晴らしい景色が続きます。ウルギーから氷河までの道そのものが、一つの観光になっています。
小さな村で、少し休憩
途中には、小さな集落がいくつかあります。広い大地の中を何時間も走ったあとに、突然、家や商店が集まった場所が現れます。そこで車を止め、トイレへ行ったり、飲み物を買ったりして小休止しました。村を出ると、また何もない大地が始まります。日本ではコンビニを見つけても、それほどありがたいとは思いません。
しかし、この場所では小さな商店を見つけただけで少し安心します。必要な飲み物や軽食は、ウルギーを出発する前に準備しておいたほうがよいです。村に商店があっても、いつ開いているか、欲しい物があるかは分かりません。
国立公園の入口で入山手続き
さらに走ると、アルタイ・タワンボグド国立公園へ入るための検問所があります。ここでは車を止め、入山者の確認と入山料の支払いを行います。
「こんなに何もない場所に、本当に検問所があるのですか?」
そう思うような場所ですが、ちゃんと係員がいます。ここから先は国立公園内です。手続きが終わると、景色はさらに山深くなり、標高も上がっていきます。雪を残した山々が近づき、川を渡り、岩の多い道を進みます。観光シーズンが始まったばかりの6月上旬だったため、山にはまだ多くの雪が残っていました。その一方で、低い場所では雪解けが進み、地面がぬかるんでいます。冬と夏が同じ場所にあるような、不思議な景色でした。
大統領オボーの手前で、まさかのプリウス
標高が上がるにつれて道はさらに荒れ、ランドクルーザーでも大きく揺れます。
「この道は、やっぱり四輪駆動車でなければ無理ですね」
そう話していたところ、大統領オボーの手前で、向こうから一台の車が走ってきました。
泥だらけのTOYOTAプリウスです。「ここまでプリウスで来る!?」
私とヤンジマが驚いている横を、プリウスは何事もなかったように通り過ぎていきました。
恐るべし、プリウス。
モンゴルでは、プリウスも立派なオフロード車です。
とはいえ、ここまで来られるのは、道を知り尽くしたモンゴル人の運転技術があってこそ。車だけまねしても、同じようには走れません。
標高約3,090mの「大統領オボー」
朝8時ごろにウルギーを出発してから、約8時間。
小さな村で休憩し、国立公園の検問所で手続きを行い、長いオフロードを走って、ようやく標高約3,090mの大統領オボーへ到着しました。走行距離は約200kmです。長い道のりでしたが、大統領オボーに立つと、その疲れを忘れるような景色が広がっていました。

目の前にはポターニン氷河。その奥には、モンゴル最高峰のフイテン峰をはじめとする4,000m級の山々が並んでいます。そして、フイテン峰へ登る登山隊のベースキャンプも見えました。
意外と近くに見えます。「すぐそこですね。行きましょう」私とヤンジマは歩き始めました。しかし、モンゴルの大自然で「近くに見える」は、あまり信用してはいけません。
近くに見えるのに、歩いても歩いても着かない
大統領オボーからベースキャンプまでは、実際には片道約3kmあります。普通の道を3km歩くだけなら、それほど大変ではありません。しかし、ここには遊歩道がありません。
しかも6月6日は、ちょうど雪解けの時期です。雪解け水で地面はぬかるみ、足を置くたびに靴が泥へ沈みます。乾いているように見える場所を選んでも、実際に踏むとズブッと沈みます。歩きやすい場所を探しながら、右へ行ったり左へ行ったりします。そのため、真っすぐ歩くこともできません。

ベースキャンプはずっと見えています。ところが、歩いても歩いても近づきません。
「あれ、おかしいですね」
「さっきと大きさが変わっていません」何もない大草原や山では、距離感が分からなくなります。すぐそこに見えていたベースキャンプまで、1時間以上かかりました。
本当に大変なのは、氷河の手前
ようやくベースキャンプへ到着しました。しかし、氷河はまだ先です。そして、ここから私たちを待っていたのが「モレーン」でした。モレーンとは、氷河によって運ばれ、積み重なった岩や土砂のことです。ベースキャンプと氷河の間には、高さ約30m近い大きな岩の山があります。

遠くから見ると、普通の岩山に見えます。実際に登り始めると、大小さまざまな岩が不安定に積み重なっています。足を置くと動く岩もあるため、一歩ずつ確認しなければなりません。
時には両手を使い、ほとんど四つん這いになって登ります。氷河へ行くので、寒さのことばかり考えていました。しかし、この場所で必要だったのは防寒着だけではありません。
軍手とトレッキングポールも必要です。手を使わなければ進めない場所が多く、岩の上でバランスを取るだけでも体力を使いました。
出発から約2時間半、ついにポターニン氷河へ
大統領オボーを出発してから約2時間半。泥に足を取られながらベースキャンプまで歩き、さらにモレーンを越え、ようやくポターニン氷河へ到着しました。目の前に広がるのは、氷と雪の世界です。
周囲には4,000m級の山々が並び、足元には長い年月をかけて形成された氷河があります。
「やっと着いた」


この言葉しか出ませんでした。遠くから眺めても美しい氷河ですが、実際にその上に立つと、規模の大きさがよく分かります。気温は約5度。標高が高いため日差しが強く、防寒着を着て歩いていると暑くなります。しかし、風が吹くと一気に寒くなります。
暑いので服を脱ぐ。
風が吹いたら、また着る。
歩き始めると、また暑くなる。
体温調整も忙しい場所です。
静かな氷河に響いた、ヤンジマの叫び声
氷河の上は、とても静かでした。聞こえるのは風の音くらいです。
そう思っていたら、突然、ヤンジマの叫び声が聞こえました。
「バルサー!助けて!」


前を見ると、ヤンジマがクレバスに足を取られ、動けなくなっています。
クレバスとは、氷河にできた深い割れ目です。表面が雪に覆われていると、どこに穴があるのか分からない場合があります。
ヤンジマは片足を取られ、自分では抜け出せない状態になっていました。
動けば、さらに深く入るかもしれません。先ほどまで元気に歩いていたヤンジマが、涙ながらに必死で私へ助けを求めています。美しい景色を楽しんでいた気分は、一瞬で消えました。
私も慎重に近づき、何とかヤンジマを引き上げました。
幸い、大きなけがはありませんでした。今だから記事に書けますが、そのときは本当にヒヤッとしました。一歩間違えれば、あわや遭難するところです。
氷河の上は、普通の雪原ではありません。
写真では平らで歩きやすそうに見えても、その下に割れ目が隠れていることがあります。現地をよく知る案内人と一緒に行き、氷や雪の状態を確認しながら行動する必要があります。
ヤンジマも、このあとしばらくは私のすぐ後ろを静かに歩いていました。
氷河へ着いても、帰り道があります
無事に氷河の上へ立つことができ、ヤンジマもクレバスから脱出できました。
これで一安心です。しかし、当然ですが帰り道があります。再びモレーンを越え、雪解け水でぬかった地面を歩き、大統領オボーまで戻らなければなりません。往復で約5時間。
帰るころには、足も腰もかなり疲れていました。その日の夕食は、羊肉と野菜を使ったモンゴル風チャーハン「ブダータイ・ホールガ」です。特別に高級な料理ではありません。
それでも、5時間歩いた後に食べる温かい料理は本当においしいです。無事に戻れた安心もあり、いつも以上においしく感じました。
予約したキャンプは、まだ建設中
夕食を食べ、あとはゆっくり眠るだけです。そう思っていましたが、この日の出来事はまだ終わりません。
予約していたツーリストキャンプへ行くと、キャンプはまだ設置作業の途中でした。6月上旬は、バヤン・ウルギーの旅行シーズンがちょうど始まる時期です。冬の間に片づけていたゲルや設備を、夏に向けて再び準備します。
それは分かります。しかし、こちらはすでに予約しています。
「予約したのに、なぜまだ作っているのですか?」
日本では、なかなか経験できない状況です。相談した結果、唯一完成していたレストラン用のゲルへベッドを運び込み、運ちゃんを含めた私たち3人が同じゲルで泊まることになりました。
モンゴルでは、困ったときは何とかします。今回は、本当に「何とかした」という感じでした。

寒さより強かった、運転手のxxx。
ゲルの薪ストーブへ火を入れると、室内はすぐに暖かくなりました。しかし、1時間ほどで火が消えると、ゲルの中は少しずつ冷えていきます。
私はマイナス8度程度まで対応できる寝袋を持参していたので、寒さについては問題ありませんでした。
「寝袋を持ってきて正解でした」
そう思いながら眠ろうとしたのですが、本当の問題は寒さではありません。静かなゲルの中に、運転手の大きないびきが響き始めました。
外からはアルタイ山脈の風の音。
中からは運転手のいびき。
氷河ではヤンジマの叫び声。
ゲルでは運転手のいびき。
この日は静かな場所へ行ったはずなのに、なかなか音の多い一日でした。防寒性能の高い寝袋でも、音までは防いでくれません。次回は寝袋だけではなく、耳栓も持って行こうと思います。
氷河まで行かなくても、景色は十分に素晴らしい
実際にポターニン氷河の上へ立てたことは、今回の旅で最も印象に残った体験です。
ただし、誰にでも気軽におすすめできる場所ではありません。
長時間のオフロード移動に加え、標高3,000m以上の場所を往復約5時間歩きます。6月上旬は雪解け水で地面がぬかるみ、モレーンには不安定な岩が積み重なっています。
氷河にはクレバスもあります。
体力や装備に不安がある方は、無理に氷河まで行く必要はありません。
大統領オボーから眺めるポターニン氷河とアルタイ山脈だけでも、十分に素晴らしい景色です。
氷河まで歩く方は、丈夫なトレッキングシューズ、防寒着、手袋または軍手、トレッキングポールなどを用意してください。
そして、氷河の上では必ず案内人の指示に従い、勝手に歩き回らないことが大切です。
予定どおりにいかないから、記憶に残ります
今回のポターニン氷河への道は、正直に言うと簡単ではありませんでした。
長いオフロード、雪解け水でぬかった地面、動く岩の山、そしてヤンジマが足を取られたクレバス。予約していたキャンプもまだ準備中でした。
それでも、氷河の上に立ち、アルタイ山脈の景色を目の前で見たときは、「ここまで来てよかった」と心から思いました。
モンゴルには、テレルジや南ゴビとはまた違う、まだあまり知られていない大自然があります。少し大変でも、普通の旅行では見られない景色を見たい方には、ウルギーの旅をおすすめします。
H&Aトラベルでは、体力やご希望に合わせて、氷河まで歩くプランだけでなく、大統領オボーから景色を楽しむプランもご案内できます。興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
最後まで読んでいただき、バヤルララー。
H&Aトラベルのバルサーでした。



