モンゴル最大の伝統行事「ツァガーン・サル(白い月)
サィンバイノー!H&A Travel旅行会社のWEB担当のバルサーです。
ナーダムが「夏の動」の祭典なら、ツァガーン・サルは「冬の静」の聖なる行事です。モンゴルの人々が最も大切にする旧正月「ツァガーン・サル(白い月)」。家族の絆、伝統料理、そして独特のマナーに触れる、心温まるモンゴルの冬の文化をご紹介します。


ツァガーン・サルの概要
ツァガーン・サルは、モンゴル語で「白い月」を意味します。「白」はモンゴル文化において「純潔」「幸福」「豊穣」を象徴する最も神聖な色です。長い冬を越し、春の訪れを祝うこの行事は、チベット暦に基づいた旧正月に行われます(通常1月末から2月頃)。
この期間、モンゴルの人々は新しいデール(民族衣装)をまとい、親戚や知人の家を次々と訪ねて、新年の挨拶を交わします。数日間かけて、血縁のつながりを確認し、長寿と健康を祈り合う、一年で最も重要な家族行事です。
ツァガーン・サルを彩る「伝統の儀式」とルール
ゾルゴルト(新年の挨拶)
ツァガーン・サルで最も重要な儀式です。年齢の若い者が年配者の腕を下から支えるようにして、頬を寄せ合います。
- ルール: 若い人が年配者の両肘を下から支え、「アマル・バィヌー?(お健やかですか?)」と声をかけます。これは「私はあなたを支え、尊敬しています」という敬意の表れです。
- 見どころ: 挨拶の際、青い絹の布「ハダク」を手に持つこともあります。また、嗅ぎタバコ(フールグ)を交換し、香りを楽しみながら近況を報告し合う光景は、遊牧民の伝統的な社交スタイルそのものです。

豪華な飾り菓子「ヘウィーン・ボーブ」
各家庭のテーブルの中央には、巨大な塔のような飾りが置かれます。
- ルール: 「ボーブ」という細長い揚げ菓子を、奇数の段数(3、5、7段など)に積み上げます。奇数は「幸福」から始まり「幸福」で終わるという縁起の良い数字とされています。
- 見どころ: 塔の頂上には、アーロール(乾燥チーズ)や飴、砂糖などで華やかにデコレーションされます。家の主人の年齢や地位が上がるほど、この塔は高く積み上げられます。



巨大な羊の蒸し肉「ウーツ」
テーブルのもう一つの主役は、羊の腰からお尻にかけてを丸ごと蒸し上げた「ウーツ」という料理です。
- ルール: 訪問客は、主人が切り分けたウーツを少しずついただきます。これは、客人を最高の料理でもてなすというモンゴル人のホスピタリティの象徴です。

ツァガーン・サルの「食」:1,000個のボーズ
ナーダムの主役が「ホーショール(揚げ餃子)」なら、ツァガーン・サルの主役は「ボーズ(蒸し餃子)」です。
- 準備: 各家庭では、旧正月が来る前に親戚が集まり、数百個から、多い家では数千個ものボーズを手作りします。
- 保存方法: 冬のモンゴルはマイナス30度以下になるため、作ったボーズは外に並べておくだけでカチカチに凍ります(天然の冷凍保存)。
- おもてなし: 客が来るたびに、この凍ったボーズを蒸し上げ、熱々の状態で振る舞います。ボーズをたくさん食べることは、その年を豊かに過ごせるという願いも込められています。


新年の贈り物
モンゴルの旧正月には、家を訪れたすべての人に贈り物を渡す習慣があります。
- 習慣: 挨拶を終えて帰る際、主人は客人に靴下や石鹸、チョコレート、あるいは現金などのプレゼントを手渡します。
- 意味: 「手ぶらで帰してはいけない」という遊牧民の教えからきており、富を分かち合う精神が今も息づいています。




